地図から探すカーライフスポット 地図から探すカーライフスポット
2021.3.23 2021.3.24

動画で再現するガレージライフ

※設定「」より画質選択いただくと最高4Kの高画質で再生できます。
DJI製ジンバルRonin-SCに固定したSONY_α7Ⅲでの撮影風景

賃貸ガレージハウス企画第一弾の数日後…
この気持の高ぶりを最高の形で記録したい!そう考えた僕らは「ショートムービー制作」という結論にたどり着きました。
それも中途半端なモノではなく、生涯の記憶に残るくらい本気で作ろう!と持てる知識・想像力・機材を存分に駆使しました、笑

僕らに加え2人の友人にも協力してもらい、計4人の撮影チームを結成して動画制作がスタート。
本記事はシナリオ考案〜撮影〜編集までのメイキングという立ち位置で、完成に至るまでの“裏舞台”をお見せします。

僕自身、本格的な動画制作は初めてでしたが、たった2-3秒のカットを撮るのに1時間以上も要する…なんてこともあり想像以上に大変。
そんな苦労話も含めて現場のリアル感が伝われば嬉しく思います!

シナリオ・ネーム

撮影と言ってもまずはストーリーやどんな“絵”を撮りたいかを決めておかなければなりません。
骨子が定まっていないと、どんなに頑張って撮影してもチグハグな作品になってしまいます。

徹夜で作成したネームを手に打ち合わせ
徹夜で完成させたネームを手に撮影スケジュールやロケ場所を打ち合わせした。

初回打ち合わせに向けてイメージする流れをネームにまとめ、これをベースに具体的な撮影手法等の検討を進めました。
ちなみにムービーのストーリーはこんな感じです。

とある休日、今日は友人がガレージを訪れる予定だ。
美味しいコーヒーでも振る舞おうと、珈琲専門店までクルマ(Cクラスワゴン)を走らせる。

そのころ、静かな地下駐車場でもう1台(Eクラス)のエンジンが掛かる。
駐車場を駆け上がり、下町を走り抜けてガレージハウス「インセル葛飾」を目指す。

ガレージハウスに到着すると、友人の愛車をガレージ内へ招き入れ挨拶を交わす。
そうこうしているとガレージへもう1台のクルマ(Sクラス)がやってきて合流。

車仲間4人が集まり珈琲で乾杯。
最後は帰宅する友人をランデブー走行で見送るカットで幕を閉じる。

あまり長すぎても間延びしてしまうかな?
ということで、全体の尺を120秒前後に設定して2シーン(「① Cクラス_ガレージ出発&走行シーン」「② Eクラス_駐車場出発&走行シーン&Sクラス到着」)にわけて撮影を進めることにしました。

ガレージのソファーで撮影打ち合わせ風景
打ち合わせは深夜まで続いた。
ガレージ内でパターゴルフ
時折、小休憩を挟みながら…笑

ここまでサラッと書きましたが、頭の中ではある程度イメージできていたつもりでも、いざネームを作り始めると整理しなければならないことが膨大で5-6枚の資料を完成させるのに徹夜作業となってしまいました。
撮影は一人ではどうにもならないので、僕が考えているストーリーや構図をメンバー全員に上手に伝える必要があります。
その意味ではネーム制作が一番頭を使った作業かもしれません。
そして拙い資料と解説にも関わらず必死に理解しようとしてくれたメンバーに感謝です!

撮影1日目

初日はシーン①(Cクラス)に絞って撮影することに。
特に走行カットは交通量が多いと難しいため、休日の早朝を狙いました。

この日の集合は早朝5:00
日が昇る前に撮影スポットへ向かい、日の出とともに撮影を開始しました。

機材準備をする撮影班
まだ薄暗い朝5:00、手際よく機材を準備して撮影スポットへ出発。
SONY_α7ⅢとDJI製Ronin-SC
強力な助っ人!フォトグラファーとして活動する友人が、この日のためにカメラ(SONY_α7Ⅲ)+DJI製(Ronin-SC)という高級機材を用意してくれた。

走行カットは一歩間違うと事故や違反に直結してしまうので、安全第一で進行します。
撮影班2人・車両班2人にわかれ、スマホをグループ通話状態にして常時意思疎通ができる状態としています。
また、運転や撮影に集中できるようBluetoothインカムを使用しました。

歩道橋で撮影車を待機
常時通話状態にしたスマホ&Bluetoothインカムでコミュニケーションを取りながら収録を進める。特に走行カットはチームワークが重要となる撮影だ。

カメラ班では撮影者がカメラ操作に集中できるよう、もうひとりが安全確保しつつ他車・歩行者が途切れるタイミングを見計らい車両班に合図を出します。
中でも気を使ったのが並走撮影で、車両からカメラが飛び出てしまうと交通違反となる可能性があるのでその点も十分注意して進めました。

ミニカーで並走撮影のシミュレーション
並走撮影は特に安全に配慮。ミニカーを使った入念なシミュレーションでメンバーの認識を合わせる。

3-4箇所スポットを変えながら走行カットを撮影したら、続いてガレージ内の撮影に移ります。
完成動画ではガレージ内カットが冒頭となりますが、なるべく交通量の少ない早朝帯に走行カットを収録したく撮影は前後入れ替えた段取りとなりました。

ガレージ内の車をローアングルで撮影
ガレージから出庫する車を撮影

ガレージ内は公道と違い自分達のペースで進められるのでリラックスして撮影できました。
撮影を進めながら、各々思いついたカットを提案しては試し撮りしてみる…みたいなことを繰り返しながら様々な素材を集めることができました。

最後に運転カットの撮影へ、というところで時計をみると17時。
なんと集合から12時間も経過しているではありませんか!
Cクラスのシーンは朝の設定なので、陽が傾いてちょうど朝日っぽい光の入り具合になっていたのは好都合でしたが。

後部座席からドライバーを撮影
収録映像の確認風景

この日は簡単に収録映像を確認した後に解散。
趣味とはいえ、流石に14時間ぶっ通しの撮影は疲れましたね、笑

撮影2日目

2日目は地下駐車場から出発し、ガレージハウス「インセル葛飾」へ向かうEクラスの撮影からスタート。
この日も朝5:30現地集合となかなかストイックな設定でしたが、誰一人遅刻することなく時間ピッタリに到着!メンバー4人の気合の入り具合が伺えます、笑

地下鉄の電光掲示板
この日は始発の地下鉄に乗って撮影現場へ向かった。

1日目と同様、交通量の少ない間に走行シーンを撮りたく駐車場カットは後回しとしました。
前回の経験が活きているのか撮影班・車両班の連携もスムーズでかなりテキパキ進んだ印象。

スマホ画面で映像を確認する撮影班
撮影ポイントで待機する撮影班。過ぎゆく一般車で構図のイメージを固める。

6:00時点で外気温は1℃。
車両班からの差し入れ、エメマンで乾杯。世界は誰かの仕事でできている!笑

GEORGIA_エメラルドマウンテンブレンドで乾杯
気温1℃の中で撮影、缶コーヒーで悴んだ指を温める。

続いて、GoogleMapで調べたスカイツリーが真正面に映るスポット。
スカイツリーをバックに交差点を横切るカットを撮りたく選定しました。

タワービュー通りを走る車
スカイツリーを真正面から捉えることができるポイント。タワービュー通りと名付けられ、電線も地中化されている。

さて、走行カット撮影もいよいよ終盤。
最後は橋を勢いよく走り抜ける絵を撮るべく、荒川に架かる「新四ツ木橋」へと向かいます。
片側2車線の4車線橋架で車の流れも良好、しかも歩道と車道の間にガードレールが無いため迫力のある映像が撮れるのではと考えました。
もちろん制限速度内での撮影となりますが、速度に関しては編集で早回しをすればスピード感のある映像に仕上がります。

歩道でカメラ設定をする撮影班
スピード取締と勘違いさせてしまったのか減速する一般車も…。運転手さん、びっくりさせてゴメンなさい!
走り抜ける車を捉えるカメラ班
周囲の車や歩行者もおらずベストなタイミング。走り抜けるターゲットを一発で仕留めた!

これで予定していた全30カットの収録が完了し、地下駐車場カット撮影へと移ります。
駐車場でも一般車の迷惑とならないよう極力通行量の少ない端っこに停めました。
また、長時間の撮影も迷惑行為となりかねないので、各カット1発撮りでサクっと終わらせます。

カメラスライダーを使用した動画撮影風景
なんと、このカットのために新兵器「電動カメラスライダー」を用意してくれた。

立て続けに駐車場出庫〜右折カットまでをほぼ一発撮りで終わらせ、インセル葛飾へ戻りました。

ここからはガレージ内カットとSクラス到着カットの収録に入ります。
元々仲良いメンバーだけに、この辺はかなり自然なカットを撮れたと思います!
結局2日目の撮影が終わったのも21時過ぎで、集合から16時間が経過していましたw

ここまでくると趣味の域を超越した感があります。例えるなら、部活練習後のひとときのような疲労と満足度が折り混ざったあの感じです、笑

そうそう、日が暮れる前に記念写真も忘れていませんよ!

2日目撮影時に記念撮影
1日目と比べ格段に段取りが良くなりスムーズに進んだ。それでも16時間の長丁場となった。
2日目撮影中にオロナミンCで乾杯
オロナミンCで乾杯!

カット選定・編集作業

計2日間、約30時間の撮影を無事に終えました!
がしかし、その後の編集もなかなかに大変な工程…
256GBのメモリーカードを埋め尽くす映像データからたった120秒のカットを抜き取り作品に仕上げなければならないのです。

① 採用カットの選定

まずは膨大な映像データの中から採用するカットを選定します。
ネーム時点である程度カット割は決まっていますが、実際には想定していなかった良い映像が撮れたりいざカメラを回してみると想像とは違って微妙だったりと当初計画とは異なる部分も多々ありました。

撮影日時順にファイルを確認して、使うカットを表にまとめていきます。

Googleスプレッドシートにまとめた採用カット
Googleスプレッドシートを使用して採用カットを整理。Googleアカウントさえあればメンバー全員で共用できるから便利だ。

② BGM選定

カットと併せてBGM選定も進めました。
楽曲データは著作権の問題があるため「EpidemicSound」という楽曲・効果音素材サービスを利用しました。

Epidemic Soundのスクリーンショット
楽曲だけでなく、エンジン音や足音などの効果音素材も充実している。

メンバー各々が採用したい曲を持ち寄る形で、前半で1曲・後半で1曲の計2曲構成にすることが決定!
これもサラッと書きましたが、映像と違い実際に聴かないと曲の雰囲気を確認できないこともあり、想像以上に時間を使った工程でした。

③ Premiere Proで繋ぎ合わせ

4K/30fps撮影のため、映像データは膨大なサイズになってしまいました。
しかも4Kデータを“編集”するとなると、並のPCでは処理能力が追いつきません…

が、しかし!
フォトグラファーの友人がちょうどM1チップ搭載の「Mac mini」を導入したとのことで、その恩恵を授かることに。
流石、撮影機材だけでなく、この辺の機材も非常にハイスペックなものが用意されていました!

Premiere Proの編集画面
Premiere Proを使った編集風景。カット同士の繋がりにも拘った。

動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」を使用して、①で選定したカットを繋いでいきます。
実際に繋いでみると、間延びしてしまう部分もあり“何を削るか”を考えることが多かったです。
最後にBGMとタイミングを合わせるために、カットの長さや速度を微調整して仕上げます。

④エフェクト&仕上げ

③である程度の形になりますが、ただ映像が繋ぎ合わせてあるだけだと単調な印象。
場面転換部分を中心に少しエフェクトを掛けています。
好みもありますが、あまり派手(動きの大きい)なエフェクトだと、結婚式のムービーみたいになっちゃうかな…と思い、最低限の採用としました。

最後にシネマ風に色調調整をして完成となります。
PremiereProにデフォルトで設定された色調も豊富でしたので、その中から好みのモノを選びました。カット毎にどのフィルタを適応するか?そもそもフィルタは必要か?を熟考して当てはめていきます。

ほんとサラッと書いてますが、出来上がった映像を書き出して何十回も再生してはタイミングを直すみたいな作業を繰り返していたので想像される以上に手間は掛かっています、笑

動画完成時、大画面で確認
完成した動画を大型TVに投影して最終チェック!時計の針は午前3時を指していた。

大満足の作品に!

冒頭に掲載した完成動画、正直いかがでしょうか?
前述したような苦労がバイアスとなってる節はありますが、僕としては非常に満足度の高い仕上がりとなりました。

Cクラスが出庫するあたりのテンポ感
Eクラスシーン冒頭、柱影から覗く感じ
シャッターの隙間から覗くSクラスホイール

あたりは特にお気に入りなカットです。

その他意識したポイントとしては、極力ダラダラ感を出さないこと。
この手の映像はクルマをカッコよく見せたいがために画面は終始クルマUPみたいになりがちですし、苦労して撮ったカットなんかは5秒・10秒…と見せたくなってしまいます。

ただ、視聴者側は「このカットいつまで続くんだろう」とストレスを感じていることも少なくありませんし、似たようなカットが続くと早送りしたり、最悪視聴を終了してしまうケースもあるでしょう…
クルマ大好きな僕ですらそう感じるということは一般視聴者ならなおさらですよね。
見方によってはやや落ち着きのない動画になっているかもですが、約2分間“飽きない”作品に仕上がっていれば嬉しく思います。

最後に、ショートムービー制作に多大な協力をいただいた2人にあらためて感謝して締めくくりたいと思います。

撮影協力

撮影協力いただいたカメラマンの友人

平山 大

普段はフリーカメラマンとして活動していますが「クルマ✕動画」のジャンルは経験が無かったので、気づきも多い貴重な経験となりました。
60km/hで動く被写体というだけでなく、一般車・自転車・歩行者や信号タイミングなど様々な要素を瞬時に判断してカメラを回さなければならないハードな撮影でした。

が、しかし… 正直、めちゃくちゃ楽しかった!
走行カットでは、なかなかタイミングが合わずに諦めかけたTAKE=7
3つ先の信号を先読みしてドライバーに指示を飛ばし、対向車の切れ目からドンピシャ被写体を捉えた瞬間はおもわずガッツポーズでしたね!
機材や撮影技術はもちろんですが、何よりチームワークが重要だということを再認識したロケでした。

また、早朝時間帯だったこともあり常にフォーカス・ISO感度を調整し、刻々と変化する光量に対応しました。
テストも兼ねて様々な機材を投入しましたが、なかでもカメラスライダーは期待を超える映像を作り出してくれました。カメラスライダーお奨めです。
編集に関しては「BGMの尺を意識したコマ単位のカット編集」「シネマテックな演出をするためのカラー調整」の2点を特に意識して進めました。

最後に重要なお知らせがあります。
実は今回のムービー制作をきっかけにクルマの魅力に気づいてしまい、マイカーを購入しました!笑
次回記事はぜひ僕の愛車を主役に^^

撮影機材の紹介

カメラ:sonyα7sⅢ
レンズ:SIGMA FE 24-70mm F2.8
ジンバル:DJI-RS2
カメラスライダー:ASHANKS
三脚:Manfrotto

\更新情報発信中/
コメント-Comment-
Subscribe
Notify of
guest
4 コメント
最新コメント
最も古いコメント Most Voted
Inline Feedbacks
すべてのコメントを見る。
OKUMURA GROUP HOLDINGS

撮影の裏話、とても楽しく読ませていただきました。
私も同じ映像業界に携わった経験があるので苦労がとてもわかります!共感できた部分が多く、現場を思い出しました;;
こうして大人になったからこそ出来る遊びって最高の贅沢ですよね。仲間と童心に帰り、時間を忘れて楽しめる環境がとても羨ましいです。
これからも陰ながら応援しています。

ひろき

Movie撮影お疲れ様でした!
スタイリッシュでかつスマートな感じ、大変満足です♪
構成、実演、撮影、編集、修正、と数々の工程を丁寧に組んでくださり、本当にありがとうございます^ ^
色んな想いがつまった作品になりましたね!
また、なにより撮影中終始楽しかったので
次回も是非よろしくお願いいたします!

姉妹サイト
賃貸&中古ガレージハウスの東京ガレージ

お奨め記事

あわせて読みたい記事

 
賃貸&中古ガレージハウスの東京ガレージ