バスコンで巡るプライベートツアー



憧れのクルマは?と問われれば真っ赤な跳ね馬や銀幕を駆け抜けたスターを挙げるのが一般的かもしれません。僕もそんな名車達をガレージに収めることを夢見る一人ですが、負けず劣らずの熱量を持っているのが「バス」。
巨大な車体、飾り気のない機能的な造形、ノイジーなディーゼルエンジン、圧縮空気で動作するブレーキやシフトから発生する歯切れ良いサウンド… バスの魅力を語りだしたらそれだけでこの企画が終わってしまいそうです。
THE商用車のバスが自動車として魅力的かは賛否両論あるかもしれませんが、バスという存在に青春時代の記憶を重ねてノストラジーを感じる方は少なくないのではないでしょうか。
校門前にズラリと並んだハイデッカー、20,000ccのディーゼルエンジンが吐き出す熱気、ほんのりタバコ臭いシート、数センチの距離ですれ違うハンドル捌き。遠足や修学旅行の想い出とセットでそんなシーンが浮かびます。
国民的アイドルグループの歌詞に「バス」や「バス停」が頻繁に登場し、何故か走り出すバスを追いかけたりするのもクルマへの興味有無に限らず「バス=青春の象徴」という扱いだからだと勝手に解釈しています。
というわけで、そんなバスへの憧れをカタチにしたのが今回のバスコン企画!
手配した車両は2003年式日産シビリアンをベースに車内をキャンピング仕様に改造したバス・コンバージョン(=バスコン)で、全長6.3m・全幅2.1m・車両総重量4.4tの車体に4,160cc 直列6気筒ディーゼルエンジンを搭載します。想い出の大型バスと比べれば小ぶりですが、乗用車慣れしている僕らからしたら十分に非日常的だし4-5人で旅するには持て余すほどの空間が確保されています。
車両紹介

RV BIGFOOT製のエポックミューは冒頭で紹介した通り日産のマイクロバス_シビリアンをベースとしたキャンピングカー。
車検証の乗車定員は10人で運転席・助手席に2人、ボックスシートに4人、後方のラウンジに4人のシート配置となっています。
同じエポックミューでもいくつかの仕様があるようですが、この個体はトイレ・シャワー・キッチンが無いタイプで運転席からリアウィンドウまで一体空間となった構造。意見が分かれるところかもしれませんが、ミニバンの延長でバスの雰囲気を楽しむようなライトな需要には適している気がします。
とはいえ機関用バッテリーの他に独立した24V電源を搭載し、冷蔵庫・電子レンジ・液晶テレビ・軽油ヒーター・流し台が備わるのでキャンプ場や道の駅への停泊を前提とするなら十分に快適な一日を過ごせます。
なお車両総重量5t未満なので、2017年3月11日以前に普通免許を取得した方なら問題なく運転できますし、この個体はオートマチックなのでAT限定でもOK。それ以降に普通免許を取得した方だと車両総重量3.5tまでに制限されているため、準中型自動車免許(3.5t以上・7.5t未満)を取得する必要があります。
レンタカー情報
店舗名 | BusConばすこん |
営業時間 | 9:00-20:00 |
住所 |
萱田ベース) 〒276-0044 千葉県八千代市萱田町599 千種ベース) 〒262-0012 千葉県花見川区千種町199ー68 |
電話番号 | 080-3403-8815 |
公式サイト | https://buscon.jp/ |















07:00 バスコン基地を出発

車2台まで預かり可能とのこと、千葉県八千代市のバスコン基地まで自車で向かい車両を入れ替えて出発。
いざ走り出すと2.1m+サイドミラーの横幅は数字で聞くよりも大きく感じ、センターラインに沿って走りながら徐々に感覚を掴んでいきました。
予報では曇りでしたが、生憎の雨… 渋滞気味の京葉道路を抜け、外環自動車道→東北道と進み「那須たんぽぽ村キャンプ広場(栃木県那須塩原市)」を目指します。
東北道に入ると雨雲を抜けて渋滞も解消、ならばと岩槻ICからの120km/h区間に突入したところでベタ踏みチャレンジ!
4.2L 直6エンジンが唸りを上げて重たい車体を引っ張るが… 100km/hを超えてからの加速はかなり鈍く、メーター読みで120km/hに達するまでは結構な時間が掛かりました。
試すまでもありませんでしたが、80km/hくらいでゆっくり流すのが気持ち良いクルマですね。バスコンが珍しいのか目線が高いからか、大型トラックの運転手と目が合ったり、スクールバスの小学生が手を振ってきたりと中々の人気モノでしたよ。





12:00 キャンプ場到着

高速道路を降りて買い出しを済ませたらキャンプ場へ。
田んぼ道を駆け抜け、木々が生い茂る未舗装路を突き進み「那須たんぽぽ村キャンプ広場」に到着。
平日だったこともあり、ご覧のように広大な原っぱにバス1台!贅沢に陣取りランチの支度を進めます。
キャンプと謳いながらも経験もノウハウも無い僕らは「山中湖ドライブ企画」で紹介したように包丁を使わずに調理できるインスタント&冷凍食品頼りで乗り切ります。このスタイルなら片付けもサクッと終わるので、残った時間は芝生に寝っ転がり昼寝したり、どこからともなく訪れた猫と戯れたり、気が済むまで写真を撮ったり… 各々自由気ままな時間を過ごしました。
那須エリアも多くのキャンプ場がありますが「区画が無い芝生でバスコンが入場できる」という条件を満たしてくれる施設はなかなか希少。しかも那須たんぽぽ村キャンプ広場は1泊1台(2名以上):4,000円、日帰り1台(2名以上):2,000円という非常に良心的な料金設定なので他に選択肢はありませんでした。
施設情報
住所 | 栃木県那須塩原市寺子1842 |
電話番号 | 非公開 |
公式サイト | https://sites.google.com/tanpopo.farm/home/ |




















19:00 ホテル到着&チェックイン

「バスコンまで用意してホテル泊かよ!」というご意見はあるかもしれませんが「フェアフィールド・バイ・マリオット・栃木もてぎ」へ宿泊。ホテルは道の駅もてぎに併設しており、バスコンでも問題なく駐車できました。
フェアフィールドブランドはマリオットグループの中でもカジュアルな立ち位置で、各地の道の駅に併設することで比較的リーズナブルな宿泊料金を実現しています。近隣の飲食店を楽しむというコンセプトでホテル内にレストランがなく、客室はバスタブの無いレインシャワータイプを採用するなどコンパクトな設計です。
宿泊施設
住所 | 栃木県芳賀郡茂木町大字茂木1069 |
電話番号 | 0285-81-5557 |
公式サイト | https://www.marriott.co.jp/hotels/maps/travel/ibrfi-fairfield-tochigi-motegi/ |






翌11:00 ブランチ&帰路

益子焼で有名な栃木県益子町にある「Cafe Fune(カフェ・フーネ)」へ。
陶芸家の工房を改装した古民家カフェで、キレイに整備された庭を眺めながら地元の新鮮な食材を使った創作料理を楽しめます。
“駐車場有り”という情報は掴んでいたもののカフェへと繋がる道はなかなかタイト… 全幅2.1mのシビリアンはサイドミラースレスレで木々をかわして何とか通過することができました。
店舗情報
営業時間 | 11:00-16:00 定休日:水・木 |
住所 |
〒321-4217 栃木県芳賀郡益子町益子5196 |
電話番号 | 0285-81-6004 |
公式サイト | http://www.cafefune.jp/ |












優雅なブランチを終えたら、バスコン基地を目指して帰路につきます。
往復の走行距離は570km、使用した燃料が86.6Lなので燃費は約6.5L/km。半分以上が高速道路だったこともありますが、4.2Lの排気量と車両総重量4.4tを考慮すれば目くじらを立てるほどの消費量ではありません。むしろ軽油の単価を考えれば燃費が良いとさえ感じてしまいます。
いかがでしたでしょうか。
スポーツカーのように運動性能が高いわけでもなく、高級車のように華があるわけではありませんが、ミニバンやハイエースとは明らかに異なる特別感を味わえるバスコン。コの字型のラウンジシートで寛ぐメンバーも学生時代の想い出話で盛り上がるなど、皆がどことなく懐かしさを感じるバス旅行だったのではないでしょうか。
平日・休日・シーズン等により変動しますが、7:00〜翌19:00(36時間)のレンタル料金は104,000円。決して安くはありませんが、記憶に残る1日となったことは間違いありません。家族・友人・カップルでいつもとは一味違う旅行を企画してみてはいかがでしょうか。






