あおり運転の心理と対策
BMW X5による常磐道あおり運転事件をきっかけに厳罰化が進むなど急速に社会問題化した「あおり運転」。
今回は「A_あおられない運転」「B_あおられてしまった時の回避策」の2ケースに分けて回避策をお話します。
あおり運転の心理
ニュースやメディアでは「匿名性」「閉鎖空間」など心理学的な説明がされていますが、僕は単純に「自己顕示欲」と「マウンティング」に過ぎないのでは?と考えています。
昔々、学生服のボタンが開いている、スカート丈が短い!
目が合った、ガン飛ばしてるのか?
みたいな難癖をつけて絡まれたこと…ありますよね?
絡む側は些細な校則違反やこちらから喧嘩を売ったかのような解釈で行動を正当化し、ナメてるのか!と恫喝してくるわけです。
あおり運転も根本的には同じでしょう。
「ペースよく走ってる俺様の前に割り込んできて喧嘩を売っているのか?」と、まぁそんなところです。
まともな大人からすると煽り運転者の心理など想像し難いかもしれませんが、あなたが考えているよりも遥かに幼稚な感覚なのです。
飲食店などで店員側の僅かなミスを問いただし、激しく怒鳴り散らすような人間と同種ですね。
車格による勘違い
前述したように、煽った理由を完結に言えば「ナメた真似をされたから」という一言に尽きるでしょう。
しかし、同じ様に割り込まれても「ナメられた」と感じるには条件があるのです。
車社会には独特のヒエラルキーがあり、自分よりも格下のクルマ(またはそう見えるクルマ)が気に食わない行動をとった場合のみ煽るのです。
わかりやすい例では、多少タイトな車線変更だったとしても、ビカビカ真っ黒のSクラスに乗っていてあおられることはまずありません。
それどころか、一見強面な車高短セダンや国産ミニバンでも車速を落とし、車間距離を確保されるのだから驚きます。
一方、同じ動きでも軽自動車やコンパクトカーの時はどうでしょう。
BMW X5のように停車までされるケースは稀ですが、低くない確率で車間を詰められ威圧されます。
もし乗り比べる機会があるなら、ごく短時間でもその違いをハッキリと感じることができるでしょう。
この例からもわかるように“車格によるヒエラルキー”があおり運転を助長して「高級車に乗ってる俺=格上」と勘違いを起こし、行き過ぎた行動に発展してしまうわけです。
コンプレックスも要因に!?
ここからは僕の想像・考えが入るので全てが当てはまるわけではありませんが、概ね的を得ていると思います。
あおり運転者の多くは実社会ヒエラルキーにおける自身の立ち位置に不満があったり、若い頃に惨めな思い(いじめられた・貧乏だった・モテなかった…)をしたなどコンプレックスを抱いているのではないでしょうか。
クルマは不思議なもので乗っている車種により自身の価値が上がったかのうように錯覚することがあります。
彼らにとっては車社会で虚勢を張ることが“現実逃避”や“憂さ晴らし”に繋がっているのでしょう。
現実では引きこもりなのにオンラインゲームで最強キャラを操って満足してるとか、Twitterやヤフコメで有識者ぶって否定論を振りかざしているようなイタイ人間と同類なのです。
とまぁ、あおり運転者は車両価格やサイズを自分の価値と誤認するような哀れな人間でありキチガイだという前提で「なるべく関わらない」「神経を逆なでしない」というのが重要なポイントとなります。
絶対にやってはいけないのが同じ土俵で戦おうとすることです。最悪の場合、自身や同乗者に被害が及んだり大切な愛車を傷付けられてしまう危険性がありますから。
あおられない運転
煽り運転被害にあわないためには、なるべく「煽られない運転」を心がけることが重要です。
①原則、走行車線を走る
あおり運転は高速道路上での発生が多く、万が一事故に発展した場合に重大化する可能性も高いと言えます。
高速道路走行においては、走行車線(左車線or中央車線)走行を徹底するだけでかなりの予防効果があります。
高速道路上でのあおり運転は「何チンタラ走ってんだよ!ここは追い越し車線だぜ、ドケドケ!」という心境から発生します。
ならば原則、追い越し車線には出ないよう走行車線を流れにのってゆっくり走ってればいいのです。
到着が遅れるのは…と危惧するかもしれませんが、仮に都心→御殿場(約100km)だとして走行車線100km/hと追い越し車線120km/hで比較しても10分も変わりません。
実際は首都圏内の移動で常にこの速度差で走行できる環境はありませんから、その差はいいとこ2-3分でしょう。
追い越し車線走行はあおり運転だけでなく「スピード違反」「通行帯違反」の取締リスクもあります。
ならば数分早く家を出てゆっくりと余裕を持って運転するほうが懸命ではないでしょうか?
②御礼・挨拶をする
あおり運転のきっかけは「ナメられた(と感じた)から」です。
必要もなく追い越し車線を走らない、車線変更は十分に車間があいていることを確認して行うなど予防運転をしていてもイレギュラーなシーンは少なくありません。
たとえば、工事で車線減少がありタイトなタイミングで車線変更しなければならない…とか。
そうした場合に有効なのが、御礼や謝罪の意を伝える“挨拶”です。
代表的なのはサンキューハザードですね、ハザードランプを2-3回点滅させることで「譲ってくれてありがとう」「割り込みしてゴメンね」という意思を伝える意味があります。
また、ハザードでなくとも手を上げて挨拶するという方法もあります。
車線変更で入れてもらったときは、後続車に見えるよう肘を90度に曲げて運転席と助手席の間から手をあげます。
(最近のクルマはリアガラスがスモーク(プライバシー)ガラスなので、見えないですが…)
僕はハザードよりも手を上げた方がより気持ちが伝わるかな!?と思い、こちらの方法で挨拶しています。
ハザードランプを探さなくていいので、視線を逸らすことがなく安全というのも理由です。
いずれにしても後続車に「ありがとう」「ゴメン」の意思を示すことがとても大切です。
タイトな割り込みになり「なんだよー!」と思っても、挨拶があれば「まぁ今回は許してやるか…」という気持ちが芽生えるのも人間なのです。
あおり運転者のためにそんな気を使うなんて…と感じるかもしれませんが、煽られたら不快な思いをするだけでなく追突されれば怪我したり愛車を傷つけられるリスクがあります。
挨拶一つでそのリスクを軽減できるなら安いもんじゃないですか。
サンキューハザードについては道路交通法において正しい使い方ではないという意見もありますが、これだけ世の中に浸透している合図であり、違法というわけでもないので積極的に活用しても良いかと考えています。
ちなみに、会釈をするという方もいますが、視線が下がるため安全上あまりお奨めできません。
③ドラレコシール
3つ目は「ドライブレコーダー搭載車両」「録画中」のようなステッカーを貼ることです。
できれば前後カメラ型のドライブレコーダーを設置しておきたいところですが、場合によってはシールだけでも十分な抑止力があります。
あおり運転がこれだけ社会問題化しているので、あおる側も摘発されたらどうしよう…という考えはあります。
「ドラレコ搭載車」とこれみよがしにアピールしている人間はそれなりに防衛意識が高いと認識するでしょう、それこそ警察に通報でもされたら面倒だなと感じ取ります。
②の挨拶作戦と並行すれば、よほどのことがなければターゲットにされることはありません。
ただ… 見た目はカッコいいものではないので賛否はわかれますよね。
あくまでも一つの手段として頭に入れておいていただけたらと思います。
あおられてしまった時の回避策
続いて煽られてしまった時の対策です。
煽られない努力をしたとしても、残念ながら完全に回避することはできません。
万が一あおり運転に遭遇してしまった際にパニックにならないよう適切な対策をシミュレーションしておきましょう。
①道を譲る
後続車の車間が近いな… と感じたら道を譲ってしまいましょう。
高速道路なら左車線へ寄って追い越してもらいます。一番左の車線に避けているのに煽ってくるというケースはほぼありません。
一般道であれば左ウィンカーを出してゆっくりと路肩によってやり過ごすか、コンビニなどがあれば立ち寄ってしまいましょう。
峠道など1車線の一本道が続くシチュエーションでは、左ウィンカーを出して路肩により徐行または停止します。
兎に角、怪しい動きをする車に遭遇したら先に行かせてしまう!これが鉄則です。
②減速&進路変更
大抵は①のように道を譲れば追い越して消えてくれるのですが、BMW_X5事件のように前に出て急ブレーキや蛇行を繰り返す嫌がらせをしてくることもあります。
この場合は減速してやり過ごすのがベターです。
無理に追い抜いて逃げようとすれば接触するリスクもあり得策ではありません。
(2車とも走行中であれば、過失割合も10:0にならない場合もあるでしょう)
もし、分岐やパーキングエリア、出口があれば相手車が過ぎ去った直後に進路変更して逃げるという手段もあります。
特に高速道路であれば本線をバックしてまで追いかけてくるとは考え難いため、頭の片隅に入れておくと良いでしょう。
③警察へ通報&動画撮影
ニュースで取り上げられるような、車両前方で急ブレーキや蛇行されたり、幅寄せにより停車させられてしまうケースではどうしたらよいのか?
メディアでも再三いわれていますが、ドアをロックし絶対に窓を開けてはいけません!
自動車のガラスは多少の衝撃では割れないので窓を叩かれた程度ではビクともしません。
この状況では何を言われても応じてはいけません、相手は相当にヒートアップしてるでしょうから無視を決め込むしかありません。
すぐさま警察へ通報(110番)し、スマートフォンで動画撮影をします。
動画はクルマに傷をつけられたり何らか危害を加えられた際の証拠になるだけでなく、証拠を押さえられたという事実が相手を冷静にさせる効果があるからです。
動画には自らの正当性を証明する役割もあります。
さらにエスカレートし、警察到着前に凶器等で窓ガラスを割られてしまった…となれば最悪の場合、車を発進させ暴行を回避するという手を取らざるを得ない場面もあるでしょう。
そうなれば相手に怪我を負わせてしまうことも考えられます。
後に自らの正当性を主張するためにも現場の状況を正確に記録することが重要なのです。
また、できれば警察との通話は切らずにハンズフリーにしておくのが良いでしょう。
相手がさらなる暴力行為に及んだ(及びそうな)ときも都度警察の指示を仰ぐ形がベターです。
いざという時にパニックにならないように
いざあおり運転に遭遇すると相当な恐怖でパニック状態になってしまうこともあります。
危機的状況の中でも冷静な判断をできるように、対策・対応方法をシミュレーションしておくと良いでしょう。
備えあれば憂いなし!明日は我が身と考え警戒しておくに越したことはありません。
今回は僕が日頃から気をつけていることを列挙してみましたが、皆様も独自のあおり運転対策があればコメント欄からご共有いただけたら嬉しく思います!
無自覚な危険運転や迷惑運転をするドライバーに対する抗議での煽り運転を見たことがあります。このように、煽られる側に原因がある場合もあるけど、だからと言って煽る側を擁護するつもりはありません。
何が言いたいかというと、第三者目線ではどちらも危険&迷惑なんです。故意か無自覚かの違いだけです。
コメントありがとうございます!
仰るとおりお互いに気を使い合えていれば、回避できるトラブルもありますよね。貴重なご意見ありがとうございます。