1万円で改善するカーオーディオ
家族や仲間と盛り上がるのも良し、一人で聴き入るも良し!
お気に入りの曲をかけながらのドライブはとても心地の良いものです。
常に音楽をかけながら運転している方でしたら「クルマに乗っている時間=音楽を聞いている時間」となりますよね。
1日1時間だとしても1ヶ月で30時間、1年で360時間、10年乗ったとしたら3,600時間(150日)もの時間クルマで音楽を聴くことになるのです。
これだけの時間聴くのであれば、少しでも“良い音”で再生したいものですよね?
しかもできるだけお手頃な予算でハッキリと違いを実感できる投資をしたいところです。
クルマに限らずオーディオの世界は限りないですから、何十万円・何百万円を注ぎ込み最高のサウンドを追求する方もいます。
確かに高級プレーヤー・高級アンプ・高級スピーカー…とフル装備したシステムは一線を画した驚きの音を奏でますが、そこまで拘る方は極一握りでしょう。
高額な投資をせずとも大きく音質を向上させることは可能です。
今回は手軽な予算、具体的には1万円程度でできる効果的な音質改善方法をテーマにお話します!
カーオーディオの仕組み
音質向上の前に、カーオーディオの基本構造を説明します。
図のようにiPhoneやCDデッキなどの再生機器で出力された音声信号をアンプで増幅し、ドアやダッシュボードに取り付けられたスピーカーから音が出るというのがざっくりな仕組みです。
また、これらの構成機材をより高性能なものへ置き換えることで最終的にスピーカーから出力される音質を向上させるというのがカーオーディオカスタムの考え方です。
音質向上のポイント
早速、低予算で音質改善できるポイントを紹介しましょう。
再生音源は今となっては主流のiPhone等スマートフォンを想定しています。
①楽曲音源
音質改善というとスピーカーやデッキを変えて…とどうしてもハードウェアに目が行きがちですが、実は最も大事なのは「音源」だったりします。
どれだけ高級な機材を使っても元の音源が雑音だらけで解像度が低ければ絶対に良い音は出ません。
特にスマートフォンを再生機として聴く場合、音源は圧縮されているケースが大半です。
CDプレーヤーが付いたクルマなら一度お気に入りの曲をCDで鳴らしてみてください、圧縮音源を聴き慣れていると「えっ、俺のクルマこんなに良い音するの?」と驚くはずです。
圧縮音源では聞こえなかったドラムやパーカッションの音に気がついたり、低音の歯切れの良さを実感できることでしょう。
というわけで、カーオーディオにお金を掛ける前にまずは音源を見直してみてください。
CD再生で違いを感じるようでしたら、全面的に音源を見直すことをお奨めします。
圧縮音源を再生している以上、いくらお金を掛けても良い音にはなりません。
でも…
今更CDを持ち歩くのもナンセンスですよね。
スマホにロスレス音源(Apple LosslessやWAV)を入れ直すというのも一つの手ですが、モロに端末容量を食いますし、そもそもリッピング時にロスレス設定をしていなければPCに保存された楽曲ファイルも圧縮されてしまっています。
TSUTAYAや中古CDショップをハシゴしてCDを買い集めるというのもいいですが、なかなかに手間で時代に逆行してますよね…
そこで音質重視のストリーミングサービス(いわゆるサブスク)を利用することをお奨めします。
サブスク登場当初は曲数や月額に注力していた音楽ストリーミングですが、ここ1-2年は音質重視をウリにしたサービスが出始めています。
「Spotify」「Apple Music」「LINE MUSIC」…と様々ありますが、圧倒的なお奨めは「Amazon Music HD」です。(僕が唯一契約しているサブスクですw)
Amazon Music HD
2021/5以前はAmazon Musicでハイレゾ(Ultra HD)を聴くには「Amazon Music HD」への加入が必要で、1,980円/月(プライム会員は1,780円/月)とまぁまぁ高額なコストが掛かりました。
が、しかし!
2021/6〜は、980円/月(プライム会員780円/月)に大幅値下げされたのです。980円/月はAppleMusicなどと同等ですが、既にプライム会員となっている方なら780円/月で利用できるAmazon Music HDをお奨めします。
AppleMusic・Spotifyなど競合サービスが次々と高音質配信へシフトしてきたため対抗策としての値下げですが、我々利用者としては嬉しい限りです。
月額が発生するのか…と消極的な意見もわからなくはないですが、7,500万曲聴き放題&700万曲以上のハイレゾ音源(最大24bit/196kHz)が再生できるのは革命的と言えます。
ハイレゾ音源は購入すると3,000円〜5,000円/アルバムと高額なため、1,000円/月以下の定額で聴き放題なのがどれほどお得か理解いただけるかと思います。
また、ハイレゾ以外の曲も原則「CD音質(16bit/44.1kHz)」で配信されているため、圧縮音源と比べれば天と地の差です。
細かい話をすると、CDの音質は再生デッキの性能に左右されてしまうので同じ16bit/44.1kHzの音源であればスマホから直接転送したほうがロスが無いという利点もあります。当然、音飛びの心配もありませんし。
さらにストリーミング再生だけでなく、スマホ本体に楽曲データをダウンロード(もちろんハイレゾ音源)できる機能もあるのでWi-Fi環境で楽曲ダウンロードしておいて、クルマや外出先では通信せずに音楽を楽しむことができます。
僕自信もAmazon Music HDを使うまでは「サブスクなんて、低音質なんでしょ」とバカにして、CDのロスレスリッピングに精を尽くしていましたが、レンタルやデータ管理はそれなりに手間も掛かるのでもう元には戻れません… Amazon Music HDは30日間無料(タイミングによっては3-4ヶ月無料を行っていることも)でお試しでき、無料期間内に解約すれば一切課金されないので気になる方はご自身に耳で音質を確かめていただけたらと思います。
(Amazon Musicの入会画面はややわかりづらく、誤って別プランで無料お試しをスタートしてしまうと、HDプランでの無料体験ができなくなってしまいます。以下リンクは「Amazon Music HD」の入会画面に飛びますのでこちらから進んでいただければ、間違いありません。)
カーナビによっては非対応の場合も
カーナビにUSBで接続する機器の場合、Amazon Musicアプリに対応しておらず音声が出ないケースがあります。
Amazon Musicに限ったことではなく、スマホ純正のミュージックプレーヤー以外のアプリではよくある話です。
カーナビ側がアップデートで対応してくれれば良いですが、おそらくそれは期待できないでしょう…
これは取扱説明書にも書いてないですし、明確な切り分けができないので試してみるしかありません。
Amazon Music HDは「30日間無料お試し」ができるので、ひとまず登録&アプリDLしてカーナビと接続して音が出るかテストしてみる。というのが手っ取り早いです。
もし対応していなければ30日以内に解約すれば費用は掛かりませんからw
Bluetooth接続も圧縮音源よりは◎
Bluetooth接続の音質については残念ながらそこまでの期待はできません。
CD(16bit/44.1kHz=1.4Mbps)であるのに対し、一般的なBluetooth(SBC規格)は約0.32Mbpsと4倍以上スペックが違います。
さらにハイレゾ(24bit/192kHz=9.2Mbps)との差は約30倍です…
ただ、それでも圧縮音源をBluetooth経由で鳴らすのと、Amazon Music HDの非圧縮音源をBluetooth経由で鳴らすのとでは明らかな差があります。
もちろん有線接続で聴けるのがベストではありますが、仮にBluetooth接続をしたとしても十分に音源変更の恩恵は得られるでしょう。
一応、補足しておくと…
BluetoothにもLDAC・aptX HDといったハイレゾ転送対応のコーデックが存在します。
が、カーオーディオでこれら規格のBluetoothに対応している機器は余程の高級機でなければありませんし、iPhoneはLDAC・aptX HDに対応していません。
つまり一般的なカーナビやスマホがハイレゾBluetoothに対応する日はまだまだ先ということです。
②DACケーブル
外部入力・AUX(3.5mmステレオミニプラグや赤白コードのRCA)経由でカーナビや純正カーステレオに入力しているパターンでしたら「DACケーブル」を使用して高音質化するという技が使えます。
DAC… あまり聞き慣れない言葉かもしれませんがDigital-to-Analog Converterの略でスマホの端子から出力されるデジタル信号をAUXやイヤホンで再生できるアナログ信号に変換する装置です。
特殊な装置のように聞こえますが、iPhoneのLightningやUSB-Cから3.5mmイヤホンジャックに変換する純正ケーブル(画像赤丸の部分)に内蔵されているモノでイヤホンジャックが廃止された最近のスマホでは一般的です。
もちろん画像のような純正変換ケーブル(Lightning→ステレオミニプラグ)からAUX入力しても音は出るのですが、このDAC(変換ケーブル)を高性能なモノに置き換えると音質向上が見込めるのです!
DACケーブルも千差万別… 中国製の2,000-3,000円から、30,000円近い高級品まで存在します。
家電量販店をハシゴして様々な製品を聴き比べましたが、確かに高級品になるほど音の解像度が上がっていく印象でした。
ただ、メーカーの特色といいますか高級品の中にもやたら低音が強調されたり濃い味付けのものもありました。
主にイヤホンで聴くことを想定して開発された商品なのでそれはそれでいいのですが、今回のようにカーナビやオーディオに入力するという目的を考えれば、原音に忠実でナチュラルな出力特性の方が好ましいでしょう。
(低音や高音を強調したければ、車両側のイコライザーで調整すればいいので)
またDACにもスペックがありまして、たとえばApple純正DACケーブルは24bit/48kHzまでしか対応していません。
つまり、この純正DACケーブルで24bit/96kHzや24bit/192kHzのハイレゾ音源を再生したとしても出力される信号は24bit/48kHzにダウンコンバートされてしまっているのです。
せっかくAmazon Music HDなどでハイレゾ音源を再生できるのに、スマホの出口で劣化してしまっているのは悲しいですよね…
市販のDACケーブルも安物は24bit/48kHzまでの対応だったりするので注意が必要です。
同じ24bit/48kHzでもDACチップが高性能になればより高音質な信号を取り出せますので、仮に24bit/48kHzまでのDACケーブルだったとしても純正よりは上質な信号を取り出してくれますが…
では具体的にどのDACがベストバイなのか。
「価格は1万円程度」「24bit/192kHz対応」「原音に忠実なナチュラルな信号出力」という条件からIKKOというブランドの「Audio USB DAC Zerda ITM03」をお奨めします。
Audio USB DAC Zerda ITM03
ITM03には「USB-C」「Lightning」の2タイプがありますので、お使いのスマホにより最適な端子を選べます。
高級ポータブルプレイヤーに採用されるCirrus Logic社のDACチップを採用するなど音質については言うことなしですし、省電力設計でスマホ側のバッテリー負荷が少ないのも嬉しいポイントです。
DAC製品の中には「充電しながら使える」という謳い文句のモノがありますが、肝心のDAC性能が微妙だったり、充電しながらだとノイズが混じったりとお奨めしにくいものでした。
2-3万円の予算を見ればより高性能なDACがあるかもしれませんが、純正相当のカーオーディオで聴くことを考えればその差は僅かなものでしょう。約1万円という価格感もITM03をイチオシする理由なのです。
クルマから降りてITM03をイヤホンに繋ぎ変えれば、クルマ以外でもハイレゾ音源を楽しめるというのもいいですね!
【2021/1/29追記】充電しながら使えるDAC
前項で充電しながら使えるDACはノイズが混じるためお奨めしない。と言いましたが、その後いくつかの製品をテストしていたところ、ノイズが混じらず、24bit/192kHzのハイレゾ音源にも対応できる組み合わせを発見しましたので紹介します!
ただし、あくまで僕のクルマとiPhoneで検証できましたよ。という話なので車種やスマホ端末との相性次第ではノイズが発生する可能性も否めません。
また、接続はやや特殊な方法になるため以下説明や写真を理解できて、自身のクルマやスマホに合わせて多少のカスタマイズができる!という方向けの情報としてご理解ください。
まず構成のメインとなるDACはM-AUDIOというメーカーの「Micro DAC 24/192」。
本来はPC_USB端子に接続し、LINE音声出力を行うという極一般的なUSBメモリタイプのDACですが「24bit/192kHzのハイレゾ対応」「iOSデバイスに対応」という2点を兼ね備えている貴重な存在です。
類似製品を調べればわかると思いますが「iOS対応だけどハイレゾ非対応」とか「ハイレゾ対応だけどiOSで動かない」みたいなケースが多く、この2条件を満たしている製品は僕が調べた限りこの「Micro DAC 24/192」だけでした。
続いて「Micro DAC 24/192」の接続ですが、以下写真の通りの部材を組み合わせて対応しています。
① M-AUDIO_Micro DAC 24/192
② Apple純正_USB 3カメラアダプタ
③ Lightning延長ケーブル
④ 3.5mmステレオミニジャック⇔RCA変換ケーブル
⑤ Lightning⇔USBケーブル
②カメラアダプタは最初Amazonの社外品を使用しましたが、給電されませんでした…
Apple純正品で試したところ、正常にDAC駆動+iPhone充電されていたので無難にApple純正品をお奨めします。
③Lightning延長ケーブルは無くても動作に影響はありませんが、DACやカメラアダプタをダッシュボード内の見えないところに設置して、Lightningケーブルのみ出しておいたほうが見た目がスタイリッシュなので延長ケーブルを使用しています。
Lightning延長ケーブルはApple純正品が無いためAmazonの社外品ですが、今のところ問題なく動作しています。
④⑤も一般的に出回っているケーブルで問題ありません。
④は車両側の入力端子形状に合わせて「3.5mステレオミニジャック⇔3.5mステレオミニジャック」を選択する場合もありますね。
また、⑤はカメラアダプタの入力端子のスパンが狭く、頭が大きなケーブルだと「Micro DAC 24/192」と干渉してしまいます。写真でもギリギリのクリアランスでかわしていることがわかりますね…笑
「①iPhoneを再生機として、②充電しながら、③最大24bit/192kHzのハイレゾ再生」という条件をクリアできる数少ない組み合わせかと思います。
ちょっと複雑な構成になっちゃいましたので、まずは前項で紹介した「Audio USB DAC Zerda ITM03」を使用してハイレゾ再生にトライしてみて、やっぱり充電しながら聴きたいなという需要があれば「Micro DAC 24/192」を用いた方法を検討してみてはいかがでしょうか。
③サウンド設定
3つ目はお金を掛けずに音質向上できるテクニックです。
(純正オーディオ・ナビ、または一般的なデッキを想定しています。)
純正でも殆どのクルマが「イコライザー(高音・低音のバランス)」「バランスフェーダー」というサウンド調整機能を実装しています。
あまり細かい設定はできませんが“聴きやすくする”程度の調整はできますので、簡単にできて効果を感じやすい2つの設定を紹介します!
イコライザー設定
クルマによっては表示はまちまちですが、概ね「高音・低音」や「HI・MID・LOW」のような表示になっています。
まずはじめに…
助手席の人と普通に会話できる程度の音量で聴くなら、デフォルト(すべて±0)がベストです。
自動車メーカーも膨大な時間を掛けて開発してますので、コスト制限はあるもののできるだけ心地の良い音が鳴るよう入念にチューニングしていますから、わざわざバランスを崩す必要もないのです。
しかし、音量を上げて聴くとなると話が変わってきます。
一人でドライブするときにはノリの良い曲を大音量で流したいですよね、その気持よくわかります。笑
デフォルト設定のまま音量を上げていくと、ドアなどから不快な振動音がして、やたら低音が強調されて“ブーンブーン”と歯切れの悪いベース音が聞こえてくるかと思います。
メーカーはBGM程度の音量で聴くことを想定しているため、あえて低音が響きやすいように作っているのでしょう。
音量を上げなくてもしっかりと低音が聴こえてくるのは意図的で、純正スピーカーが紙製なのも低音を強調するため敢えて採用しているのではないかと考えています。
コスト削減で…という面もあるでしょうが様々な騒音の中、小さな音でも「心地良く、迫力のあるサウンド」を作るための最適解だったのではないでしょうか。
とまぁ、純正オーディオ&デフォルト設定も悪くないんだよ!
と前置きしたうえで“大きな音量で聴くなら”低音側を絞って(下げて)あげると、音量を上げていっても低音に適度なキレがあり、不快なビビリ音が解消され、より気持ちよく聴くことができます。
車種や機材によりその程度は様々ですが「低音域を10〜20%下げる」という設定を目安にしてみてください。
もし「低音・中音・高音」と設定できる機材なら「中音はほんの気持ち(1メモリとか)上げる」とヴォーカルがくっきりするでしょう。
高音側は車両のスピーカー構造によるのですが、ツイーターが備わっているならデフォルト(±0)で良いでしょう。
もしコーンスピーカーのみ(フルレンジ)なら中音同様に少しだけ上げるとギター・ドラム・パーカッションなどの音が際立ってきますよ!
フェーダー設定
続いてフェーダー設定です。
一般的なクルマは全席左右、後ろ席左右で計4発のスピーカーが設置されています。
中にはツイーターやダッシュボードにセンタースピーカー、足元やシート下にサブウーファーが設置された構成もあるでしょうが、音の基本はこの4発で成り立っていると考えて良いでしょう。
結論、フェーダーは「前席寄り」に設定することをお奨めします。
割合で言えば「前席70%:後席30%」とか「前席80%:後席20%」という具合です。(前席で聴くことを前提にした設定です)
感覚的には全てのスピーカーから均一な音量で鳴っている方が良いように思えますよね?
「後席にも人が乗車し、会話を楽しみながらBGM程度に音楽を流す」というシチュエーションならデフォルト設定(前後±0)がベストです。
ただ、音量を上げて前席のみで聴くとなると話が変わってきます。
各スピーカーから視聴者までの“距離”が異なるため、前と後ろの音がバラバラに聴こえてしまいまとまりのないサウンドになってしまいます…
「340m/秒で進む音に対して、いいとこ1-2mの差でそんなことあるの?」
と思うかもしれませんが、人間の感覚とは想像以上に繊細なようでこの0.00*秒の差が不快に感じるのです。
そこでメインの音は前席2発のスピーカーに任せるのです。
考えてみればホームオーディオは左右2発が基本ですよね。
では、フロント100%でリアは鳴らさない設定でもいいのではないか?という議論もありますが、僕はリアも軽く鳴らすのがお奨めです。
音は高周波(高音)になるほどシートや内装で減衰しやすい一方で低音域は遮蔽物に強いため、リアスピーカーを軽〜く鳴らすことで低音のみが前席届き、より迫力のある立体的な音になるというわけです。
また低音域は高音ほどズレ(スピーカー距離による到達時間差)を感じずらいため、思いの外自然に仕上がるのです。
言葉で説明してもイメージしづらいと思うので、是非愛車で試してみてください!
カーオーディオの嘘・本当
最後に巷で議論になるカーオーディオネタについて僕なりの考察をまとめてみました。
個人的な偏見?もあるかもしれませんが、よかったら参考にしてみてください。
純正オーディオはダメなの?
ネットでは「純正オーディオはクソだ!」みたいな論調が目立ちますが、前述した通りほどほどの音量で聴く分には悪くない音を出します。(最近のクルマは特に)
厳しいコスト制約がある中で車両価格を抑えつつもできるだけ良いモノを求めた結論がこの音なのか!と考えて聴くのも面白いです。
ただし純正オーディオの場合、大音量で聴くことは想定されていないので音量を上げて聴きたいということであればよりパワフルな機材へ変更していくと好みの音に近づくでしょう。
カー用品店で聴くのと違う?
カー用品店のオーディオ視聴コーナーでは、1-2万円のスピーカーでもとてもクリアで広がりのあるサウンドを奏でます。
しかし、いざ自分のクルマに取り付けて鳴らしてみると「あれ?こんなもんかな…」とイマイチな結果だったことはありませんか?
諸説あるでしょうが、僕はこう考えています。
スピーカー自体の性能差というよりも「取付と視聴環境」に大きく影響されます。
カー用品店では壁面にガッチリ取り付けられ、リスナーは2つのスピーカーの中央に立ちスピーカーと正対して聞きますが、
実際のクルマではドアやダッシュボードに取り付けられ、足元や天井を向いて鳴るのでこの時点で大きな違いがあります。
取付もドアのペラペラ鉄板と専用設計されたスピーカーボックスでは天と地の差です。
スピーカーボックスは「エンクロージャー」と呼ばれ、スピーカーをガッチリ固定するだけでなく振動を効率的に前方へ発する役目があります。
ドアや内装が“ビビる”のは、本来空気を振動させなければいけないスピーカーから発せられた力が漏れてしまっているためです。
さらに空間の広さも影響します。
カー用品店は十分に広い空間が確保されているため、反響音や定在波が気になりません。視聴ルームであれば、吸音材が敷かれるなど対策されているでしょう。
実際の車内では音量を上げていくとガラスや内装で反射した音が混ざり合い不快な音を発します。
この問題は難しく、いくら高級なオーディオ機器を導入したとしても根本的な解決はできません。
何十万円も掛けたカーオーディオよりも、家で聴く数万円のミニコンポの方が良い音がする…
という話は良くありますが、まさに視聴環境の違いが大きいでしょう。
スピーカーからどれだけ解像度が高くパワフルな音が発せられたとしても、適切な位置関係・空間でなければ性能をフルに発揮することはできないというわけです。
もちろん、これら問題を改善するためにデッドニングやタイムアライメント、イコライザー調整…といった手法があるわけで、制約の多い中で良い音を目指すというカーオーディオならではの醍醐味があります。
僕自信もカーオーディオは大好きです。一筋縄にいかないからこそ、好みの音に仕上がったときの喜びが大きいのです!
アーティストや楽曲によって音質が違う?
カー用品店やイベントに行くとカーオーディオメーカーのデモカーを視聴できる機会があります。
メーカーや専門店が存分な費用を掛けて仕上げたクルマなのでそりゃ良い音がして当然ではありますが、実は「選曲」も重要な要素と言います。
音源が大事だ!ということはお話しましたが、同じハイレゾ音源でもアーティストや楽曲により音質がマチマチです…
純正オーディオだとわかりにくいかもしれませんが、ハイレベルな再生機器になるほどその差は顕著に現れてきます。
具体的にどの楽曲が良くてどれがダメ…みたいな話は避けますが、違いは録音や楽曲編集の段階から発生するようです。
考えてみればスタジオのマイク・機材・遮音性、その後の編集…と千差万別でしょうし、クオリティの差はオーディオ機器の比ではないですよね。
つまり、マスター音源の段階から音質の違いがあるというわけです。
また、2000年前後からはイヤホンやミニコンポなど手軽な機材でも迫力のある音を再生できるように…という目的で収録音圧レベルを上げる傾向があります。
ただ、音圧を稼ぐためにオリジナルの波形は大きくコンプレッション(=圧縮)されるため、代償として音質を犠牲にします。
巷では「音圧戦争(ラウドネス・ウォー)」と言われており、有名レーベルから発表される楽曲はだいたい過度な音圧補正が行われてしまっています…
そしてオーディオ機器が良くなればなるほど、音量が大きくなるほどに“粗”が目立ってしまうのです。
ではどうしたら良いのか?
という話になりますが、マスター音源が微妙な時点で正直どうすることもできません…
「音圧戦争に参加せず音質重視で仕上げられた楽曲」のみを選びぬいて聴くという以外は、そういうモノだと思って納得するしかないのかもしれません。
何度も同じような話になってしまいますが、オーディオは機材だけでなく音源がとても大切ですよという形でまとめたいと思います。
ネットで検索して拝読させて頂きました。とても参考になりました。
数年前に音楽雑誌の付録でStereo emilai inc usb noise filterと書かれたスケルトン樹脂製のアダプター?を車載して愛用致しております。emilai社にも推奨品を問い合わせしてありますがAUDIO MicroDAC24/192が購入射程に入っております。コラム記事夢中になって拝読させて頂きました。有難うございました。
コメントいただきありがとうございます!
実はつい数日前に新しく「MicroDAC24/192」を購入し、同様の接続で使用したのですが、iOSとの相性が悪いのか音が出ませんでした。(以前から持っている同製品は問題なく音が出ます)
メーカーへ問い合わせしたところ、相性の問題とのことで明確な原因がわからないのですが、iPhone等での使用を想定されていましたらご留意くださいませ。取り急ぎですが、宜しくお願いいたします。